◆出世することが人生の全てではない。

横山秀夫さんのクライマーズハイを読みました。そして、久しぶりに小説を読んで涙してしまいました。涙した場面は主人公の悠木が北関東新聞をやめようとペンバッヂを置こうとした時に、部下から慰留の言葉をかけられ、退職ではなく通信局への異動を選ぶところです。男の美学的にはクビ覚悟でしたことだから退職する方がかっこいいのでしょうが、家族のことを思うと簡単には退職するとは言えない状況。そんな悠木に対して、記者としての仕事は本社でデスクをやることだけではないことを諭す部下たち。その光景がありありと浮かんできて、その見事な描写に心が揺さぶられました。

実を言うと横山さんの小説は、今回で2回目になります。最初に借りた「64」は読み始めてイマイチ物語の中に入って行けず、50ページほど読んで止めました。警察ネタだからダメかと思い選んだのが、このクライマーズハイ。やっぱりサラリーマンをやっている自分にとっては、サラリーマンが主人公の方がより身近に感じられて読みやすいですね。ちなみに、前回涙した小説は「冬の喝采」です。

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

クライマーズ・ハイ (文春文庫)