◆アナログな部分はあってもいい。
「イチローフィールド」を読み終えました。先週末に本屋に行って買おうと考えていたら、知っているほとんどの本屋が週末休業になっていて、急遽アマゾンで購入しました。普段は小説以外はフォトリーディングで読むのですが、この本は一字一句味わいと思ったので、寝る前の15-30分をその読書タイムに決めて読み進めました。より深く自分の中に刻み込みたいので、来週も同じようにして再読書したいと思います。
これまで著者の丹羽氏のイチローに関する取材記事は、日経電子版で随時更新されるたびに読んでいました。今回読んでみてやっぱりと言うかイチローの引退会見の時も印象に残った話ですが、「頭を使わない」野球に関しての話が一番心に残りました。IT技術が進化して色んな角度でデータを入手・解析して、その結果から弾き出されたことに従って選手は打ったり投げたりする。イチローが紹介した例は「2アウトランナー3塁」でどんな打撃をするかです。イチローは、わざと詰まらせてショートの裏に落としてヒットにして1点を取るという野球。一方、最近のデータ野球は、センターにライナーを打つ方が点が入る確率が高いとし、実際にライナーを打って1点が入らなくても評価される野球。イチローは以下のように評しています。
野球をやったことがないやつを現場に入れているから、ややこしくなっている
イノベーションを起こす有力な方法として、門外漢の人物を仲間に入れてその人の発想を取り入れることがポイントとされてます。現在大リーグで言われているフライボール革命も、そんなイノベーションの一つかなと思ってます。この流れは止められないとイチローも認めています。でも、行き過ぎたIT技術によるイノベーションは人と人との真剣勝負が本質のスポーツにとって弊害になるのかもしれませんね。技術の進歩で生活が色々便利になるのは有り難いことですが、何でもかんでもデジタル化するのではなくアナログな部分も残しておきたいと改めて思いました。自分は機械ではなく、血の通った人間なのだから。
- 作者:丹羽 政善
- 発売日: 2020/03/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)