◆子供は親をよく見ている。

終わった人、先週の月曜日に読み終えました。まず書店で文庫本を開いた時に文字の大きさに違和感を覚えました。そのせいで、ページ数も500ページ位になっていました。読者の大部分が定年近辺または以降の人であることがその理由だとすぐに気づきました。

中国出張時の暇つぶしとして買いましたが、読み始めたら近い将来の自分を描いているようで、他の娯楽より優先して読書しました。そして、1週間もかけずに読み終えました。登場人物としては、終わった人である主人公の田代壮介よりも、娘の道子がすごく印象に残りました。子供はよく親のことを見ていて、わかっているものだなと。

一方、一番印象に残ったシーンとしては、盛岡に母校の高校野球の応援をするために帰郷した壮介が、同窓生に今の自分の状況を全てさらけ出すところ。辛い胸の内は容易に想像でき、それを「ええかっこしい」を手放して全てを打ち明けた壮介の勇気に涙が止まりませんでした。小説を読みながら泣いたのは、本当に久しぶりでした。

この本を読んで改めて自分も典型的な男性(仕事人間)であることを認識しました。誰もが終わった人になる。定年後に会社の肩書が無くても勝負できる(生活ができる)ようしっかりと準備していきます。

終わった人 (講談社文庫)

終わった人 (講談社文庫)