清張小説 久しぶりに読む 

◆巧妙過ぎると、話自体がわからなくなる。

日経新聞の夕刊(11月7日)のコラム(クレディセゾンの会長)で、松本清張の小説について言及していて、久しぶりに読んでみたくなり、図書館に行きました(いつものごとく一部の作家を除き、小説は買わずに図書館で借ります)。上述の会長さんがいの一番に上げていた小説が「点と線」だったことと、図書館にもあったので、これを借りました。これまで清張の小説で読んだことがあるのは、ゼロの焦点と、死体の発送くらいです。ただ、ゼロの焦点は十数年以上前に読んだので、ほとんど内容は覚えていません。
ところで、点と線に話を戻しますが、読み進めると、得意の列車トリックを使った推理小説なのだと、すぐにピンと来ました。今どきの人は使わないであろう、時刻表や電報!が登場してきて、すごくレトロな気持ちにもなりました。一方で、挿絵(文春文庫出版です)に蒸気機関車があったので、飛行機はまだ無い時代の話だと思い込み、そこですっかり騙されてしまいました。解説で有栖川有栖さんもケチをつけていましたが、トリックとしては初歩的で、そりゃー列車だけではこの殺人が無理なことは、100%わかるでしょうと…
でも、ストーリー自体は、読んでいて疲れないというか、すんなりと物語の中に入っていけて、久しぶりに1週間で小説を読み終えました。巧妙なトリックの推理小説も悪くはありませんが、複雑過ぎると頭が混乱してきて、結局トリックの凄さだけが、頭に残る感じになります。自分が言うのもなんですが、推理小説の初級者には、「点と線」はオススメな作品なのかもしれませんね。